ふりむいてよキャプテン
もう......、もう......いいや......。

氷が入った袋を持ったまま、くるりとにっしーの方に体を向ける。


「本当は......。
プールでさほちゃんがにっしーにベタベタしてた時も私のにっしーに触らないでよってめちゃくちゃ嫉妬したし、にっしーに彼女ができたら嫌だと思ってる。

私.....にっしーのこと、手放したくないと思ってるの!」


一度言ってしまった言葉は今さら取り消せない、この際もういいやと半ばヤケになって本心をぶちまけた。

その途端ににっしーは片手で顔を覆ってうつむく。


口に出して言ってしまえば、他に好きな人がいるんだからにっしーもほしいなんてダメだと、今まで理性とか良心で抑えつけていたものが全部なくなって、自分の本心に妙に納得した。


「......ほら、ね、ひいたでしょ?
他に好きな人がいるのに、にっしーにもそばにいてほしいなんて都合いいことばっかり考えてるんだよ。
本当に最低だから」


何が私のにっしーなんだか。
どれだけ勝手で、どれだけ都合がいいんだ。

だから、にっしーに関わりたくないって言ったんだよ。
こんな最低な自分が嫌で。


氷が入った袋をにっしーに渡して、じゃあもういくねと声をかけると、腕をひかれてとめられる。

腕をつかまれた時に、渡した氷が床に散らばる音がした。

ああっ、もう......せっかく用意したのに.....っ。
袋の口しばっておけば良かった。




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