ふりむいてよキャプテン
「......三回したら、どうなるの?」

「三回したら......、スリーアウトチェンジ?
あんまりしてたら、付き合ってるみたいだし......」


苦笑いで再びにっしーから距離をとる私を、にっしーはついに我慢の限界がきたのか、イラッとしたようににらんできたので、嫌な予感がしてさらに後ずさる。

けれど、こんな狭い場所で逃げていても、すぐに捕まってしまった。


私の両腕を逃がさないようにとらえて、嫌?ってまっすぐな目で見つめられると、自分で自分の顔が赤くなるのを感じてうつむく。

それは反則だよ......。


いつもと違うちょっと強引なにっしーにときめいている間に、後頭部をつかまれ上を向かされ、ついにアウトとなる三回目をしてしまった。


「はい、三回したよ。
ここまできて、俺は彼氏じゃないの?」


今度はキスしたあとも、がっちりと私を捕まえたままのにっしーに、ドキドキしながらも首を横に振る。


「何がそんなに問題なんだよ......」

「何が、ってだから何回も言ってるじゃん。
他に好きな人いるからって。
付き合っても、やっぱり小野くんが好きだからゴメンってまた別れることになるのが目に見えてる。
にっしーと付き合っても同じことの繰り返しだもん」

「それでもいいよ。
今度は同じことにならないかもしれないし、同じことになったとしても、俺はいいよ」


視線を泳がせながらぶつぶつ言っていると、まっすぐな視線まっすぐな言葉、どこまでもまっすぐなにっしー。


何回も何回も私は小野くんが好きだって言ってるのに、何でそんなににっしーは私が好きなのか。

何回も何回も心折られて、しかもこの前バッサリフラれたのに、まだ小野くんが好きなのは私も同じだけど......。




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