ふりむいてよキャプテン
「......ごめんなさい」


先に謝ったのは、さほちゃんだった。
ペットボトルをつぶす手をとめ、しゃがみこんでいる私の顔をじっとみる。

しゅんとしたさほちゃんに、とたんに罪悪感がわく。


「......ううん、私の方こそごめん。
さっきの言い方冷たかったね。さほちゃん色々気を配ってくれてるのに、無神経な言い方してごめん」

「そんなーさほのこうこそー、って言い合ってるときりないからやめましょっか」


だね、と二人で笑いあってから、掃除再開。


「ねぇ先輩、もうひとつだけいいですか?」

「んー?いいよー?」


棚の奥の方に体ごと突っ込んで、ぐちゃぐちゃの丸めた紙やらテッシュやらを出していると、さほちゃんに声をかけられたのでその体勢のまま返事をする。
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