ふりむいてよキャプテン
「俺はにっしーは調子にのってないと思うよ。
そういう目で見るから、そう見えるんじゃないの?
にっしーが自分より結果残してるからって妬むなよ」


小野くんが椅子に座っても、まだ険悪な雰囲気の部室で、ヒロくんがくるくるとボールを片手で回しながら、そんなことを言った。


言いたいことは分かるけど、そんな言い方したら、よけい神経逆撫でするんじゃ......。


「俺もにっしーは調子のってないと思うよ。
一番調子にのってるのお前だもんな?」


今まで部室の入り口付近で傍観していた本田くんが、部室端のヒロくんに目をやる。


「は?俺のどこらへんが?」

「そういうとこだよ。なんでそんな上からなの?
お前って、ファーストとか外野入ってる時、全然声出てないよな。ピッチャーやってない時はどうでもいいと思ってんの?」


ファーストのレギュラーをもらった本田くんは、希望ポジはピッチャーで普段はヒロくんに次ぐ二番手投手。

同じピッチャーだから、思うとこがあったのか、そんなことを言い出す。


ちょっとちょっと......。
にっしー問題だけでなく、またここで新たな火種が......。

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