ふりむいてよキャプテン
「おっ!本田いいこと言うじゃん!
俺もチームメイトを信用するのは大事だって言おうと思ってたんだよね」


いきなり先行き不安な雰囲気のなか、あの日部室で起こったことを唯一知らないにっしーが、一人空気読まず笑顔で本田くんに同意した。


「もっと試合中に声かけ合ったりするべきだよね......、どっちがフライとるとか誰が中継入るとかさ。
最近の俺は全然できてなかった、みんなごめん。
あれから考えたんだけど、そんなことばっかりやってたら、レギュラー外されるのも当たり前だと思う。

そんなわけで、今回はレギュラー外されたけど、春の大会はレギュラー復帰目指してがんばりますんで、みんなよろしく!」


明るく笑顔でそう言い切るにっしーに、あの日にっしーの悪口を言ってた人たちはさすがにばつが悪そうにしている。

......にっしー、すっかり元気になったみたいだけど、もう吹っ切れたのかな。


大会の時、いつものようにグラウンドに立てず、ベンチから試合を見ているだけのにっしーはすごく辛そうで、なんだか声をかけられなかった。


だから、あれから話せてないんだけど......。
元気になったなら、そろそろ話しかけていいかな?

これからのこととか、話したいし......。
チームの仲も気になるけど、私としてはこっちの方が重要な問題。


今日はミーティングだけでいつもよりも早く終わりそうだし。もしかしたらにっしーはこのあと残って自主練してくかもだけど。

少しくらいなら待ってようかな、そう決めて前の方に座るにっしーを見つめた。
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