ふりむいてよキャプテン
「えっと......。
試合が終わった後の反省会というかミーティングの時、みんなそれぞれその日の自分の反省点を言うよね?
あれ悪いとこだけじゃなくて、いいところも言ったらどうかなと思うんだけど。自分じゃ言いにくいかもしれないから、誰か気づいた人がほめてあげたりお互い言い合うとか」


悪いとこを言うのもいいんだけど、そればっかりじゃへこんじゃうから、いいとこも言ってあげたら、テンション上がるんじゃないかな、と思って言ってみたんだけど。

誰も何も言ってくれない。

なにいってんだこいつ、なに甘いこといってんだ野球はそんな甘くねーんだよとか思われちゃったのかな。


「うん、俺はいいと思うよ。
今度から、気づいたらいいところも言うよ」


一人でへこんでいると、今まで沈黙を守っていた小野くんだけが唯一同意してくれた。


「最後に、これは俺から提案なんだけど、これから定期的にみんなで話し合う時間を作ろう。
五分でも十分でもいいから。今日だけじゃ、何にも解決してない。
俺もこれからどうしていけばいいか考えてくるから、みんなも考えてみて」


一人一人の顔を見た後、小野くんは今日はこれで終わりにしようとしめた。

今日だけじゃまだ解決してないけど、なんとか足がかりはできたみたい。ひとまずミーティングはこれでいいとして......。

ずっとにっしーと話したくてそわそわしていた私は、立ち上がってにっしーの元に近づく。


「にっしー、ちょっと残って」


しかし私が声をかける前に、小野くんに先を越されてしまった。

......。

仕方ないか......。
にっしーと小野くんまだ仲直りしてないみたいだし、そろそろ仲直りできるといいよね。
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