ふりむいてよキャプテン
「俺があの日、あみを家に連れ込んで、それで、その......。
とんでもないことをしでかしたって、後悔してる」

「後悔......してるの?」


きっと悪気はないんだと思う。

にっしーはこう見えて、そういうとこは真面目すぎるぐらい真面目だし、付き合う前にってところに責任感じてるのかもしれない。

それでも、後悔という言葉はさすがに傷つくよ......。

後悔という二文字に、盛り上がっていた自分の心が急ピッチで冷えていくのを感じた。


私はあれからにっしーのことが頭から離れなくて、恥ずかしいような照れるような気持ちもあるけど、それでも早くにっしーと会いたくて話したくてうずうずしていた。

それなのに、にっしーはその間、私とのことを後悔してたんだ......。


「ああ、いや、後悔ってそういう意味じゃなくて。
弱ってた俺に同情してくれたあみにつけこんで、あんなことするなんてどうかしてた」


薄暗い自転車置き場、まだそこまでお互いの顔も見えないほど真っ暗というわけではないけど、にっしーがどんな顔をしているのかは分からなかった。

私がずっとうつむいていたから。
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