ふりむいてよキャプテン
「ストップー!!」


グラウンドに学ランの三年生を見つけた瞬間、外野ノックをしていた小野くんが手を止めて、号令をかける。


号令がかけられると、内野も外野もノックをやめて、先生以外の全員がピシッと姿勢を正して静止する。


「こんちはーす!」

「こんちはーす!!」


大きな声で挨拶をしてから、三年生に頭を下げるみんなにならい、小野くんにボール渡しをしていた私も頭を下げる。


先生や引退した三年生、OBの人たちがグラウンドにきた場合、練習中でもいったんやめて、挨拶をしないといけない。

その号令は、キャプテンの役目。

先生たちがきているのに気づかずにそのまま練習続行してたら......どうなるか分からないけど、まあ気まずくなるよね。


だからキャプテンは常に誰かがグラウンドにきてないか気を配ってないといけない。
かといって、そればっかり気をとられて練習に集中してないなんてのはもってのほか。


キャプテンって、辛いんだ。

みんなをまとめなきゃいけないし、試合の先攻後攻もキャプテン同士のじゃんけんで決まるし、一番に挨拶しなきゃいけないし、他にも何かと責任重大。

がんばれ小野くん。
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