ふりむいてよキャプテン
正直に答えると、みたいだねといつき先輩は困ったように笑った。

......?いつき先輩何か知ってるのかな。


「実はさ、にっしーから相談されたんだ。部内の雰囲気のことで、何かアドバイスがほしいって」


相変わらず困ったように笑っているいつき先輩に、そうなんですかと力なくボールを放った。


にっしーはあの日のことを知らないはずだけど......。
誰かから聞いたかもしれないし、聞いてないにしても、なにか感じたのかな。


「にっしーとは、どう?」


考えこんでいたら、外野手の方を見ながら、世間話でもするかのようにそう聞かれて。


「そっちも、微妙な感じですね......」


いったいいつき先輩がどういう意味で聞いたのか分からなかったけど、正直にそう答えた。


にっしーとは、前みたいに全く話さないわけじゃないけど、お互いに友達というほど割りきれてもいない。

かといって、恋人では絶対ないし、にっしーはどうか知らないけど、少なくとも私はもう戻る気はないし。


二年の雰囲気も、にっしーとの関係も、全てが微妙な感じ。

なんだかモヤモヤしたまま、ボールを握った。

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