ふりむいてよキャプテン
にっしーとは微妙と答えると、それ以上深くつっこまず、そうと目尻を下げて笑っているいつき先輩の横顔を見ていると、妙に気まずい。


「じゃあ、いつき先輩、アドバイスにきてくれたんですか?」


早口でそう問えば、いつき先輩は外野にノックを打ってから、私の方に向き直り、笑顔で首を横に振った。


「ちがうよ、しごきにきただけ。
引退した俺が口出すことじゃないからね。
にっしーにも自分たちでなんとかしろって言ったよ」


私が渡したボールを笑顔で受けとり、もう何度目か分からない外野陣のおねがいします!に、いくぞー!とこれまた何度目か分からないいつき先輩の声。


......たしかに、そうなんだけど。


なんだかもやってると、いつき先輩は私の方に向き直ってから、笑顔をむけた。
< 539 / 604 >

この作品をシェア

pagetop