ふりむいてよキャプテン
いや、でも、せっかく作ってきたんだし。


「ミッチー、部室ってまだ誰かいた?」

「部室ですか?俺が出てきた時は二年生は全員帰ってて、あと一年生だけでしたね」


やっぱり渡そうと決意したとたん、また撃沈。
い、いつのまに帰っちゃったの......。

笑顔でそう言うミッチーに、もはや笑うしかない。


「どうかしたんですか?」

「ううん?何も。
ミッチーこれあげる。
じゃあ私帰るから、バイバイ」


義理だけど、とホールケーキをミッチーに押付けて、自転車に鍵を差す。


「俺ですかっ!?いいんですか!?
帰るなら、一緒に帰りましょう」


ミッチーも自転車をひいて、こちらにきたので、二人で一緒に帰った。



こうして、結局二年連続好きな人にチョコを渡せないまま、私のバレンタインは終わったのだった。
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