ふりむいてよキャプテン
しばらく待っていると、ミッチーはコートを出ていったけど、にっしーはラケットを握ったまま、ミッチーをあきれたように目で追いながら立ち尽くしていた。


「にっしーどうかしたの?」


ラケットを回収するため、そんなにっしーに声をかける。


「ああ......、いや.......、あいつがわけわかんないこと言うから......」

「え?」


片手でラケットを握りしめたままのにっしーの言葉を聞き返すと、にっしーはいったんテニスコートに目をやってから、私の方に視線を向けた。


「それが、あみが三浦のこと好きかもしれないとか言ってくるんだよ。もし告白されたら付き合ってもいいですか?って。

......俺、あみが三浦のこと好きってのは絶対ないから、余計な心配しなくていい。安心して他の女の子いけ。って言っちゃったけどさ......実際どうなってんの?」


しぼった方がいいとか言われたんですけど、あみ先輩に絞れって意味かもしれないです、とかなんとかも言ってた、とさらににっしーは微妙な表情のまま続ける。


「絞った方がいいとは言ったけど、私に絞れって意味じゃないよ。ミッチーが彼女できないって言ってたから、ちょっとアドバイスしただけ」


......うーん、そういう風にとらえたか。

たしかに本命っぽいようなチョコも押しつけちゃったし、そういう風に捉えられてもおかしくはないかも。

私もちょっといけなかったな......。


だけど、なんでわざわざそんなことをにっしーに言ってくるんだろ?と思って、そのままそれをにっしーに聞く。
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