ふりむいてよキャプテン
黙りこんだまま、自転車置き場から部室までの道のりを二人で歩く。


グラウンドを半分くらい入ったところで小野くんは立ち止まり、分かった考えるよと背を向けたまま一言だけ言ってから、先を歩いていった。






そして......。
明日はあさってからの大会の調整で、自主練なので、大会前の全体練習は今日まで。

そんな今日の練習が終わると、今日はピチピチTではなく、燃えるように赤いジャージを着た先生が、熱弁していた。


「いいか、あさってから大会始まるからな。
分かってるだろうな、勝たなきゃ意味がねぇぞ。
練習のための練習やってんじゃねぇぞ、試合に勝つために練習やってんだ。分かってるなら、しっかり結果残してこい。いいな、本気で......、今風に言うとマジか。
お前たち、マジで......」

「はい!!!」


......そんなに今風でもないような。

マジで、とわざとらしく五回も使ってきた高田先生に、誰も何も突っ込めないままに、春の大会前の最後の先生の話が終わった。
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