ふりむいてよキャプテン

最後の夏

夏の甲子園予選地区大会、二回戦目。

私たちの三塁側ベンチには、今年も千羽鶴が飾られている。


一塁側ベンチにいる対戦校は、甲子園春夏二連覇を狙う甲子園常連校、一回戦シードの銀月館。

春の大会で銀月館のグラウンドにいったときは、まさか銀月館と当たるなんて夢にも思わなかった。しかもこんなに早く。


案の定一方的な試合をされていて、五回表の時点で12-0。
十点差がついていれば、五回裏の終了時点でコールドになる。

今日は途中から登板していたヒロくんが、八番バッターをショートゴロに打ち取り、ようやく長い長い銀月間の攻撃が終わった。


「ナイピッチ!ナイショート!」
「ナイショート!ナイファースト!」


守備が交代すると、それぞれ声を掛け合いながら一斉にベンチに戻ってきたみんな。

ヒロくんと本田くんもお互いに声をかけあってから、ベンチに入っていった。







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