ふりむいてよキャプテン
三年間できっと誰よりも高田先生を怒らせただろうにっしーに、お前の思うようにやれと言った先生。

そして、三年間で誰よりも逆転や満塁のここぞというときのチャンスを潰してきた小野くんに、打ってくれよと言ったにっしー。

それから、三年間でエースの座を奪い合いながらも、今日の試合ではお互いに声を掛け合いカバーしあったヒロくんと本田くん。

他のみんなだって、スタンドにいる一年生やさほちゃんたちだって心から応援してくれている。


なんだかもうそれを思うだけで、まだ試合も終わっていないというのに、すでに泣きそうだった。


「宮崎、最後までしっかり見とけ」


グラウンドから目を離さずに腕を組んだまま言われた高田先生の言葉に、はっとして私はスコアブックから顔を上げる。


そうだ......、どんな結果になっても最後まで見てないと。にっしーとも最後まで見るって約束したんだ。


ゆっちたちのブラスバンド部の演奏する応援歌が聞こえ始めてきた頃。

もう一瞬でも見逃さないように、とグラウンドにいるにっしーを見つめた。
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