ふりむいてよキャプテン
「ありがとうございました!!」


試合終了のサイレンがなり選手たちが挨拶をしたあと、流れたのは銀月館の校歌だった。


終わっちゃったんだ......。
これが、最後の試合になったんだ。


まだ実感もわかないうちに、すぐにダウンにいかされたみんなの背中を見送ってから、銀月館のベンチに千羽鶴を渡しにいく。


「先輩、おつかれさまです。
何か手伝うことありますか?」


鶴を渡しにいって、ベンチの掃除をしようと帰ってくると、廊下でセーラー服姿のさほちゃんにすれ違った。


「さほちゃんもおつかれさま。
それじゃ控え室の掃除してもらってもいい?
私はベンチの掃除してくるね。最後の......」


最後の仕事をしてくるね、と言おうとしたけれど、涙があふれて言葉にならなかった。

そっか、これが最後の仕事なんだ。
もう本当に最後なんだ。

そう思うと急に実感がわいてきて、平常心ではいられなくなった。


「先輩~、泣かないでくださいよぅ~。
さほにたくさんのこと教えてくれて、ありがとうございました。こんなさほと仲良くしてくれて、本当に嬉しかったです」


それまで普通に話していたのに、いきなり泣き出した私を、背の高いさほちゃんが抱きしめる。

そういうさほちゃんだって、なんだか泣いてるみたいな感じだ。
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