ふりむいてよキャプテン
「私の方こそ、ありがとう......っ。
さほちゃんがいてくれて、本当に助かったよ。
私が引退してからも、これからもみんなを支えていってあげてね」


はい、と涙ながらにうなずいたさほちゃんとしっかりと抱き合ってから、最後の仕事をするためにベンチに行く。


さほちゃんには最初の頃何度もイライラさせられたし、それからもにっしーのことで色々あったけど......。

二人で長い時間一緒にいて、二人でマネージャーがんばってきた特別な存在。

綺麗事抜きに言えば、嫉妬もしたし、さほちゃんがいなければと思ったこともあった。それでも今になって思い返してみれば、さほちゃんがいてくれて本当に良かった、そう心から思える。


ありがとう.......。


さほちゃんに、みんなに感謝をしながら、球場のほうきとちり取りを借りて、ベンチの砂ぼこりの掃き掃除を始める。

たった一試合で、こんなに砂ぼこりがたまっちゃってる。


丁寧にそれをはいていると、目の前に赤と白のしましまユニフォームをきた人が立っていた。


「......どうしたの?ダウン終わったの?」


ほうきをもったまま、その人の顔をみようと顔をあげた。

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