ふりむいてよキャプテン
顔を上げると、じゃあと去っていく小野くん。
背番号8番をつけた、野球部キャプテンで私の大好きだった人。


何考えてるか分からないし、変な方向につっぱしっていくし、いつも話しかけても私の方を見てもくれないし、結局最後まで振り向いてはくれなかった。


「ねぇ......っ。
もし、何年後かにどこかで会って、その時お互い恋人もいなくて、もしもまたいいなと思ったら......。
もう一回、告白してもいい?」


背番号8をつけた遠くなっていくその背中に、最後に呼びかけた。


「その時は、俺の方から告白するかも」


呼びかけると、小野くんは振り向いてから、少し照れたように笑った。


見ていないようで、本当はちゃんと見ててくれて。
冷たいようで、本当は優しい小野くん。

そんな小野くんが、大好きだったよ......。



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