ふりむいてよキャプテン
「銀、代打いけ」



三番バッターの先輩がネクストボックスに入ろうとする前に、先生がそれを制し、腕を組んだまま銀先輩に声をかける。


最終回ツーアウトランナーなし。
この場面で、代打......。

最後に銀先輩を試合に出してあげたかったのか、それとも......。



「三振してもいいから、見逃しだけはするな。
思いきり振ってこい」


「はいっ!」



銀先輩は先生の言葉に頷いてからヘルメットをかぶり、ネクストボックスでひとつ素振りをして、バッターボックスに入る。



「選手交替のお知らせをいたします。
三番ライト竹田くんに代わりまして、代打、加藤くん。
背番号18」



アナウンスのあと、銀先輩は様子を見ることもなく、一球目から思いきりバットをふった。



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