天使のような歌声
◇天使のような歌声
*始声
町の木の葉はもうとっくに散り、裸になった。
少し肌寒い風がすーっと横をすぎてゆく。
寒いなぁ、なんて思いながら、ある人を待つ。
今は12月下旬。
「乙葉ー?待ったか?」
おまたせ、なんていって白い息を吐き出した彼。
「待ってないよー。あ、ハッピークリスマス」
はい、といって丁寧に包装された物を渡す。
そう、今日は12月25日でクリスマスなんだ。
町はサンタクロースの格好をした人がティッシュを配っていたり、
ツリーやイルミネーションが飾られていて子供達もわいわいと賑やかだ。