【完】幸せをくれたあなたに。
「ちょ、みーちゃん!ちょっと待っ……」
「「「きゃーー!!」」」
そんな時、後ろから女子の歓声が聞こえ、
また後ろを向いて見ると、遥生くんは一気に他校の生徒に囲まれていた。
「この前、門の前に立ってた可愛い男の子だよね!?」
「近くで見ると、ほんとキレー」
「よかったら、ウチの店寄っていかない!?」
遥生くん、困っている……。
早くこの荷物持って行きたいのに。
はあ……。
私は心の中でため息をついたあと、遥生くんの隣を通ろうとして、
荷物を片手にまとめ、女子の間から手を伸ばした。
「え、わっ!」
遥生くんは、驚いような声を出した。
遥生くんの手を掴み、突然走り出したのだから。
「いいから走って」
小声で言うと、それを接したように一緒に走った。