【完】幸せをくれたあなたに。
「はあ……はあ……っ」
「あの男の子どこー?」
「あっちじゃない!?」
扉1枚挟んで聞こえる大群の女子の声。
走り切った私たちは、物置の準備室に来た。
それにしても、つ、疲れたあー……。
「みーちゃん、ありがとう」
落ち着いてきたのか、呼吸がしっかりしていた遥生くんはニッコリと笑みを浮かべお礼を言った。
「それじゃあ、私は荷物も運べたし、先に戻るね」
少し雑に置いてしまったけれど、別にいいよね。
ドアを開けようと、手をかけた時、
「待って!」
遥生くんがその反対の手の右手首を掴んだ。
「……?」
「あの、さ。俺と、一緒に文化祭回ってよ」
え……?
「悪いけど、私あんな怖い女子に囲まれるのは怖いので」