【完】幸せをくれたあなたに。
準備室には、いろんな用具が揃っていて、誰かが仮装用に用意したのか、遥生くんは鬼の面と黒のマントを取り出した。
きっとお面越しに、遥生くんの顔は真っ赤だろう。
この姿のまま一緒に回った。
焼きそばを買ったり、射的をしたり。
私にとっては少し、楽しいって思えた。
でも、どうしてだろう……?
こんなに、やっと、楽しいって思えたのに……。
──ドクンっ…
いつだって、すぐに見つけてしまう。
松井くんと藍那……。
楽しそうに話す藍那の顔。
私だって……
あんなふうに、笑いたかった……。
けど、怖いんだ。