【完】幸せをくれたあなたに。
「ま、そのままじっとしてて? 階段下りるから危ないよ」
開いた屋上のドアを通り抜けた後、ゆっくりゆっくりと暗い階段を下りる。
なにも見えないのに、松井くんにお姫様だっこされたまま下へ下へ、と向かう。
それがなんだか、怖くてぎゅっと松井くんのシャツを掴む。
「……怖い?」
それに気づいたのか、優しく松井くんは聞いてくれた。
「……少し」
「しっかり掴んでてくれていいから、もう少し我慢してね」
「うん……」
ああ……。
松井くんがこんなに近くにいる。
ドクンドクン、と速くなる鼓動。
「……三浦さんって面白いよね」
「え……っ」
「恥ずかしがって、すぐ顔赤くなるし。かと思えばすぐ泣く、泣き虫だし」
「……っ」
そう言われ、顔がまた赤くなっていく。
「ほら、また」
ジィーっと見られていることに実感した私は、バっ!っと松井くんから顔を逸らした。
と、そんな時