【完】幸せをくれたあなたに。





「…………」

「…………」


女子2人が帰っていった後、しばらくの沈黙が2人の間に流れた。


どうしよう……。

なにか話さないと。


焦って話題を探していると


「……三浦さんは、俺の素顔とか見たい?」


「……え?」


そんなこと聞かれると思っていなかった。

思わず、聞き返してしまった。



「俺、自分の素顔……嫌いなんだよ」


明るさに照らされた松井くんの表情は、唇を悔しそうに噛み締め、どこか悲しそう。


そんな感じが私には伝わってきた。


「……私は、松井くんがその素顔を嫌いなら見せなくていい。だけど、私はきっとその素顔好きになると思う」


優しく微笑んでみる。


……って私なに言ってんだろ。


「ありがとう……」


その一言と同時に、松井くんはニコっと微笑んでくれた気がした。




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