【完】幸せをくれたあなたに。




「なあ、聞いたかよ! 今日A組に転入生が来るらしいぜ」

「マジかよ。女?男?」


「そ、れ、が~! なんと、女らしいぜ!!」

いつもより廊下や教室が騒がしかった。



それは、今私の近くで大声で、他クラスの人たちの言っている“転入生”のことでだ。


廊下を歩いていた私は、足を止めた。


こんな時に転入生?


それにしても、A組って私のいるクラス。

つまり、そのA組に?


「おーい! 聞け聞け! さっき転入生見たぞ!!」


教室に入ってきたクラスメイト。


みんなが一斉に視線を向ける。


私は教室に入り、自分の席に着くと軽めに耳を澄ませた。


「おお、どんな子どんな子?」


興味津々な男子たちに、


「すっげえ、美人」


そう答える。


「「「うおおおおお」」」


男子たちの目は輝いていた。



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