【完】幸せをくれたあなたに。
「ちょ……っ!おい!」
焦り始める隣の席の松井くん……いや、“雪くん”
シーンとしていた教室が、一気にざわめき出す。
「え? なに? どーなってんの?」
「あの転入生と、三浦と松井って凄いショットだな」
訳のわかってないクラスメイトや先生なんて、まさにどうでもよかった。
「……どういう、こと……?」
自分でも気づかなかった。
私の声が小さく震えていたこと。
彼は私の方を見て、
「ごめん……」
そう言って、嘘じゃないことを証明される。
泣かない……。
泣かない……。
ぎゅっと下唇を噛みしめる。
「……琴」
私の名前を呼ぶと同時に、彼の手が私の腕に触れた。
──バッ!
堪えれきれなかった涙と、ともに“雪くん”の手を振り払った。
私は、いてもたってもいられなくて、外へ飛び出した。