【完】幸せをくれたあなたに。
どしゃ降りの雨の中、濡れたって気にしない。
もう、涙なのか雨なのかわからなくて、顔はぐちゃぐちゃになっていた。
走れ。
走れ。
走れ。
「はあっ……はあっ……」
とにかく走った。
夢中になるくらい。
なにも考えなくて済むように。
ねえ……。
どうして私に嘘をついたの?
私って気づいてて話したんでしょう……?
ねえ……。
どうしてですか……?
止むことなく、激しくなる雨の中、私はその場で、
意識を手放した──……。