【完】幸せをくれたあなたに。
「……この子の目は、このままだとどうなるんですか?」
さっきまで、黙っていたお母さんが焦りながらも聞いた。
「……徐々に悪化していくでしょう。今よりも、視野が狭くなっていき、見えづらくなっていきます」
「……それって、失明する可能性は……?」
恐る恐る聞いてみた。
先生は、一度小さく息をはくと、
「……可能性がないとは言えません」
そう呟いた。
それじゃあ、失明する可能性が、あるってこと……?
私のこの目は、いつか見えなくなるってことなの……?
「治る方法は、ないんですか!?」
私は、焦った。
なにも見えなくなる……。
そう思うと、怖くて仕方なくて。
だけど、先生は
「……今のところ、ありません」
「……え」
かすれる声。
頭が真っ白になった。
じゃあ、私は失明するかもしれない状態で、これからなにを見つめていけばいい……?
明日から、どんなふうに雪くんや、麻紀と過ごせばいい……?
それすらも、わからなかった……。