【完】幸せをくれたあなたに。




「……ほらっ! 私、結構転んでたじゃん? さすがにおかしいなって、思って……病院に行ったら夜盲症だったの……」


「琴、無理して笑わなくていい」


少し笑ってみせたものの、雪くんにそう言われて、胸に詰まっていたなにかが込み上げてきた。



「わ、たし……っいつか、目が見えなくなっちゃうの……こわ……くて」


怖い。

怖いよ……。



泣いてしまった私。


そんな時、


「ねえ、琴? もし琴が見えなくなったとしても、私たちはずっと一緒にいるよ?」


「ああ。俺らは絶対、琴のそばにいるよ」


麻紀と雪くんが、そう言ってくれた。


心強かった。



だからね……?

私は、大丈夫だって、信じてたの……。



2人が私のそばにいるって……。


ずっとずっと、信じてた……。



苦しんでいる誰かに、気づかなくて。

傷つけていた誰かに、気づかないまま。




私は大きな罠に落ちた──……。






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