【完】幸せをくれたあなたに。
──ドンっ!
「い……っ」
麻紀に押された背中。
そこは、体育館倉庫。
身体が震えた。
震えて震えて、仕方なかった。
「人の好きな人、取るなんて最低っ」
「麻紀、ちが……」
「なにが違うって言うの? “雪くん雪くん”ってうるさいんだよ!!」
「麻紀……っ!」
「ああ、ウザいウザいウザい」
いつもの麻紀じゃない。
私、取ったつもりなかった……。
これはきっと、彼女の溜まった嫉妬が怒りへ変わったもの。
変えたのは……私。
「麻紀〜。呼んできたよ」
体育館倉庫の入り口から顔を覗かせたのは、さっき麻紀とした女子。
麻紀は、ニヤっと笑うと
「んじゃー、やっちゃって」
そう言った。
入ってきたのは、男4、5人で見たことのない人たち。
怖い……。
ニヤニヤしながら近づいてくる男たちは、どんどん私に近づいた。