【完】幸せをくれたあなたに。




──グイっ!!


「え!?」


突然、腕を引っ張られた。

でも、なにも見えなく、誰かもわからない。


「三浦さん。俺だよ。安心して」

この声は、松井くんだ。


でも、よくよく考えてみれば、ここには私と松井くんしかいないんだ。




………………え


てことは、2人っきり……?

それに気づいたとき、私は身体の震えが止まらなくなった。


私の頭の中でフラッシュバックする、あの最悪の出来事が……。


ああ、嫌……っ!!

やめて……。


もう、あんなこと二度となりたくない。




「ごめん。そんな怖がらないで。暗くて危ないと思ったから」

少し切なそうな声をしていた松井くんは、掴んでいた私の腕を離した。


そして松井くんは「もう遅いし、帰ろうか」と言って、1人ドアの方へと向かっていった。


だけど、




< 16 / 204 >

この作品をシェア

pagetop