【完】幸せをくれたあなたに。
「雪くんっ!!」
今は、前のこととかどうでもいい。
焦っていた私は、罪悪感なんてなく、ドアに手をかけた。
ゆっくりおろして引くと、
──ガチャ……
音がして、開いていると確認した私は、慌てて中に入った。
「雪くんっ!!」
もう一度雪くんの名前を呼んで近づくと、雪くんの額には痣だらけの身体だった。
「なに……これ」
雪くん……。
「……っ来んなよ」
雪くんは、痛そうに口を開いて私に向かっていった。
来んな……?
私の心の中には、“また麻紀なんだ……”そんな言葉が出てきた。
「……ごめんね。麻紀じゃなくて」
好きじゃないはずなのに、苦しくて。
胸が痛かった。
でも、このままじゃ雪くんが大変だから、そんなことを考えるのはやめて
「ごめんね。でも、手当てさせてよ」
これくらい、いいでしょ?