【完】幸せをくれたあなたに。
背中には、かたい床。
覆いかぶさった状態で、上から見下ろしてくる雪くんと目が合う。
逸らそうにも、逸らすことのできない。
……私、雪くんに押し倒されてる?
「……あ。えと……怪我やっぱ手当しようか?」
あえて、私は話を逸らす。
だけど、雪くんは恐ろしいほどの低い声で言った。
「もう黙れよ」
──ドクン……
「ゆき……ま、松井くん?」
雪くんと呼びそうになった私は言い直した。
さっきまで呼んでたくせに。
「琴……」
気のせいなのか、雪くんは悲しそうな声で私を呼んだ。
……と、力強く私の腕をグッと押さえてきた。
「……っ!!」
あ、れ……?
雪、くん……だよね?
どんどん顔を近づけてくる雪くん。