【完】幸せをくれたあなたに。
「みーちゃんに返そうと思って、毎日持ち歩いてたんだ」
なにかを私に渡す物?があるみたいだ。
なんだろう……?
「あっ。かけてあげるね」
「……?」
“かける”?
でも、なにを?
わからなかった私に、耳になにか、かかった。
「メガネ、渡すの遅くなってごめんね。困ってたよね……」
完全に忘れていた私のメガネ。
遥生くんに持って行かれたままだったんだ。
「あ、えっと……ありがと」
泣いていた私は、いつの間にか涙は止まっていた。
「みーちゃん……聞いてもいい?」
遥生くんのその言葉は、泣いていた私についてだろう。
「……だめって言ったら?」
「その時は、聞かないよ」
「別にいいよ」
「みーちゃんが泣いていたのは……どうして?」
聞かれると思っていたこと。