【完】幸せをくれたあなたに。
なんて言おうか、とは思ったけれどウソをつく気にもなれなかった。
「……私にとっては、大切な人だったの」
「…………」
きっと、遥生くんはなんのことを言っているのか、わかっていない。
それでも、なにかを接したよつに黙って聞いてくれる。
「ねえ、遥生くん」
「ん?」
「ここじゃ、なんだから。あそこの公園のベンチに座ろう?」
私が指差して言ったのは、光があって明るい公園。
はっきり言って、遠いし見えにくいから、公園なんてわからない。
だけど、来た時に見たこの公園。
だから、あそこが公園なんだってわかる。
公園のベンチに座った私たちは、少し黙り込むと、私はまた話を続けた。