【完】幸せをくれたあなたに。




「アンタ、誰」


遥生くんは、雪くんに向かって言った。



その言葉に雪くんは、なんて言う……?


と思っていたら、

「……俺は、こいつの兄だけど?」


「えっ……」

なんて言った。


遥生くんは焦った様子で、固まっていた。



私は、頭がついていけず理解した時には、



え、いや、違うでしょ

と心の中で思い、バッと雪くんを見た。



でも、雪くんは私のことなんて見ず、遥生くんに言った。



「そういうことだから、早く帰れよ」


冷たく言い放った雪くんに、悔しそうに遥生くんは去って行った。



「……松井くんだって、同じことしようとしてたくせに……」


静かになった中、私は小さく呟く。


< 178 / 204 >

この作品をシェア

pagetop