【完】幸せをくれたあなたに。
「アンタ、誰」
遥生くんは、雪くんに向かって言った。
その言葉に雪くんは、なんて言う……?
と思っていたら、
「……俺は、こいつの兄だけど?」
「えっ……」
なんて言った。
遥生くんは焦った様子で、固まっていた。
私は、頭がついていけず理解した時には、
え、いや、違うでしょ
と心の中で思い、バッと雪くんを見た。
でも、雪くんは私のことなんて見ず、遥生くんに言った。
「そういうことだから、早く帰れよ」
冷たく言い放った雪くんに、悔しそうに遥生くんは去って行った。
「……松井くんだって、同じことしようとしてたくせに……」
静かになった中、私は小さく呟く。