【完】幸せをくれたあなたに。
周りには、『冬弥』とは呼ばれず、みんなから“ゆっきー”と呼ばれる。
だけど、1人だけみんなとは違う『雪くん』と俺を呼ぶ奴がいる。
そいつは、
「もう、琴ってば! 寝すぎだから!」
「……ふぁへ!? 嘘!?」
顔を机に、伏せて授業中眠っていた女。
「ね、ゆっきーが見てるよ‼」
と、いきなり眠っていた女を起こしていた女が、俺をチラチラ見ながら言った。
「……へっ!? う、うううううウソ!?」
それを聞いた、眠っていた女は、嘘かのように机に置いていた顔を一気に上げた。
まるで、“眠ってません”とでもいうように。
そのくせ、真っ赤な頬。
少し、イジワルしてみたくなって、近づいた。