【完】幸せをくれたあなたに。
「だめだよ」
否定されてしまう。
「どうして?」
つけたって、別に構わないじゃない。
「電気をつければ、先生か誰か来てしまう」
「あ、でもそれなら助けに……!」
「それが本当に助けだと思う?」
どういうことだろう。
先生が来れば、それで開けてくれる。
無言だった私に、松井くんがまた口を開いた。
「委員の仕事をしていたからって、こんな遅くまでここにいたらどんな誤解を招くと思う?」
「それは……っ」
「俺らに委員の仕事を任せてきた担任はもうこの時間帯は帰ってる。間違えなく、疑われて誤解を招くだけだよ」
確かに、その通りだ。
でも……
「私たち朝までここにいるの……?」
「そういうことになる」
そんなの無理だよ。
「でも、もし朝になって助けてくれたとしてもそれこそが疑われるでしょ?」
「それは大丈夫」
そう答えた松井くんに、私は頭の中がハテナだらけのまま朝を迎えることにした。
お母さんが明日まで帰ってこなくてよかった……。
きっと、心配するだろうし。