【完】幸せをくれたあなたに。
「言っておくけど、ゆっきーは私からは逃げられないよ?」
なんて悪魔の微笑みを。
琴……。
ごめんな……。
気づいてやれなくて、ごめん。
廊下を1人で歩いて去っていく琴の後ろ姿。
ごめん。
それからずっと、麻紀といた俺は楽しくもなんともなかった。
ただ、琴のことが頭の中で存在した。
謝りたくて、また話したくて、
その時、この気持ちがなんなのか、はっきりとわかった。
俺は、恋に落ちたんだ。
ありえないって、いらないって、親のことでムシャクシャしていた俺が恋に落ちるなんて……。
信じられなかった。
けど、俺は今ならわかる。
俺は、琴が好きだ。