【完】幸せをくれたあなたに。
受験生の俺たちは、ただただ勉強した。
このまま琴と離れるなんて嫌だった。
だから俺は、担任を説得して琴の行く高校を聞いた。
そこは、レベルが標準より少し高めだった。
今までサボっていた分も、全部ちゃんとして徐々に成績をあげた。
そして、春──……。
合格した俺は、新たな青春が始まる。
名前も、この日から
『雪村』から『松井』へ。
中学で、琴以外『ゆっきー』と呼び、『冬弥』と呼ぶ奴はいなかったのが、なにより助かった。
琴はきっと俺を見れば、怯え、避け続ける。
だから、俺も前とは全然違う格好で“ダサい男”として過ごすようにした。
君に、バレないように──。
そして、新たなクラス。
──ドンっ!
「わっ!」
「てめぇ、邪魔なんだよ」
“三浦 琴”
また君に出会えたこの春。
「よーし、じゃあお前ら。今日は委員長を決める。立候補者が出るまでやるぞー」
先生のその言葉は、みんなが嫌がった。
そして、1人の女が立候補したのは、琴だった。
「男子はー、松井くんがいいと思いまーす」
そして、男子では俺の名前が出された。
嬉しい、なんて思っていた俺は一体なんなのだろう……。
好きになるって、こういうことなんだな。
クラスは同じで、隣の席の君と、委員長になったんだ──。