【完】幸せをくれたあなたに。
幸せをくれたあなたに。
ケジメ
雪くんから、話を全て聞き終えた私。
雪くんも、あの時苦しんでたんだね……。
今思えば、家に行った時後ろにいたお父さん。
雪くんは、慌ててドアを閉めた。
学校での居残り。
手に痣が見えた。
なんでもっと深く考えなかったんだろう……。
「雪くん……」
名前を呼んだその瞬間、雪くんは笑った。
「ははっ……。やっと呼んでくれた」
「え……?」
「俺だってわかっても、琴は俺を“松井くん”なんて呼ぶから苦しかった」
「ご、ごめん」
「いや、いいんだよ。……でも、」
「でも……?」
「……いや、今はいいや。先に全部片付けてから言うよ」
「……?」
片付ける?
どういうことだろ……。
「琴は、まだわかんなくていいよ」
「え」
「あ、あとさ。んと、誰だっけ……?あ、与沢?だっけ?」
藍那……。
「与沢のこと助けた時のこと、覚えてるか?」
男たちに、連れて行かれた時だ。