【完】幸せをくれたあなたに。
自分のことに必死で、周りを見ていなかった。
けど、屋上の端を見てみると、金色の髪がよく目立つ、雪くんと……怒鳴り声を上げていたのは、麻紀だった。
「だから、もう俺に構うな」
「なによっ!! ゆっきーはいつもそうだよ!! アイツが視界から消えても“琴、琴”って……。言わなくてもそのアイツを見ている目から、いつだって伝わってきた!!」
「麻紀、俺は……っ」
「なんで私じゃないのよ……っ!! なんで、いつもいつも……っ」
泣いている麻紀。
私たちに気づいていない2人。
私と藍那は、その場面を黙ってみていることしかできなかった。
ねえ、
これが雪くんの言ってたケジメ?
じゃあ、私も今度こそ、ちゃんとケジメをつけるよ。
「藍那。私ね」
そしてまた、藍那の方を見て伝えるんだ。
「私も、松井くんが……好きです」
ちゃんと、言えた。
今度こそ、ちゃんと。
藍那は、どう思う……?