【完】幸せをくれたあなたに。
「三浦さん、ここに毛布が1つだけあったんだ。今夜は寒いしこれ使って」
さっきから、ゴソゴソとしていた松井くんがこっちに近づいてくる。
「いい。松井くんが使いなよ」
「まあまあ、いいから。はい。これ」
“はい。これ”と言われても、見えづらくてどう受け取ったらいいのかわからない。
とりあえず、声のする方に手を伸ばして左右に手を探るように揺らす。
それに接したのか、松井くんは「あ、ごめん」と言って更に近づいてくる。
ん……?
後ろに行った?
そう思った瞬間。
一瞬身体がビクリと跳ね上がった。
松井くんが、毛布を肩に掛けたからだ。
「んじゃ、おやすみ」
毛布を掛けとくだけ掛けて、スタスタと私から距離を置いた。
きっと、私に気を遣ってくれてるんだ……。
それに、毛布ないのに寒そうだし。
自分で使えばいいのに、どうして私に貸すの?
そこには、疑問だらけの私がいた。