【完】幸せをくれたあなたに。
また、チラりと松井くんを見た。
すると、パチリと視線が重なった。
そして、
「三浦さんに恥ずかしいとこ見られちゃった」
どうして彼は、私に暖かい笑顔を見せてくれるのだろう。
「別にいいじゃない……」
私はボソリと小さな声で呟き、顔を逸らした。
その時だった。
──ガチャ……ガラガラ
私は音のしたドアを見た。
もちろん、松井くんも。
開いたドアから入ってきたのは
「おやおや、お2人さん無事だったかい?」
猫背になって杖で身体を支える姿。
メガネをつけて優しい顔をしているタレ目。
いきなり入ってきたのは
「教頭先生!?」