【完】幸せをくれたあなたに。
長い髪を急ぎめで乾かす。
ドライヤーの風で、長い前髪が目に入る。
そんな邪魔な前髪をピンで止めて、また髪を乾かした。
そんな時、ふと時計が視界に入った。
やばっ……!
このまま髪を乾かしていたら遅刻だ。
私はドライヤーを止め、ピンを外して少し濡れたままの髪で行く準備をした。
メガネをかけて、鞄に今日の用意を入れくつを履いた。
「行ってきます」
静かな家の中にただ、私の声だけが聞こえていた。
まだまだ満開に咲く綺麗な桜の木の中を、私は走って学校まで向かった。