【完】幸せをくれたあなたに。
私はいつの日か、変わってしまった。
人を信じる怖さを知って、人の笑う恐怖を知った。
大好きだった人も、笑いあった友達も、もう私には必要ない。
もう誰も、必要ない。
どんなに優しくされても、どんなに好きって言われてもそれが私を怖くする。
考える度に身体が震える。
そして、もう1つ。
私は生まれた時から、網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)という病気。
この病気は夜盲症や、鳥目なんかでも呼ばれている。
どんな症状か、簡単に言えば暗いところになるとなにも見えなくなる病気。
原因は、親はなにもなっていないが遺伝が関係ある。
ただ今は、治療法もなくてどうすることもできない。
私は、この病気のせいで……。
「……っ!!」
下唇を痛くなるほど噛み締めた。