【完】幸せをくれたあなたに。
それから、午後の移動教室からの帰りのことだった。
私は最後くらいに教室へ戻ることにした。
途中でトイレに行きたくなって、教科書を持ったまま中に入った。
トイレから出ると、さっきまで少しいた生徒が誰一人いず、静かな廊下になっていた。
教科書を、両手で抱えて歩き始めた。
でも、曲がり角を曲がろうとすると
──ドンッ!
「いっ……!」
私は、走ってきた誰かとぶつかり、尻もちをついた。
勢いよく走ってきたのか、肩に痛みがジリジリとくる。