【完】幸せをくれたあなたに。
少しの異変
その後、普通に授業を受けていたけれど、みんなのニヤつきは止まることがないまま昼休みになった。
いつものように、弁当を持って裏庭で食べようと席を立った。
突然、隣の席が勢いよく立ちあがった。
藍那だ。
「こ、琴! 一緒に食べない?」
藍那は私のほうを見て、恥ずかしそうに言った。
「うん、食べよ」
「私いつも裏庭で食べるんだけど、そこでいい?」
「わあ、裏庭? 行きたいっ!」
食べる場所の話をしていると、
「与沢ちゃーん?」
藍那の名前が呼ばれ、私と藍那は同じタイミングで声のしたドアのほうを見た。
そこには、気味の悪い、男3人がニヤニヤしながら立っていた。
藍那は怯えた表情で固まっていた。
そりゃそうだろう。
だって、その3人は今日の1限目の自習の時に藍那に対して、卑猥なことばかり言っていた奴らだからだ。
藍那はそれを知っているから、怖くて仕方ないんだ。