【完】幸せをくれたあなたに。




なにこの状況……?


理解できない私は、そのまま固まることしかできなかった。

なぜか、地面に座りこんでいるぽっちゃり。


周りにいた3人も驚いた表情をして、ぽっちゃりの側まで行った。

「チッ。誰だよ、ボール投げたのっっ!!」

近くにあったボールを持って、大声で叫ぶ女。


ああ、なるほど。


なぜ座りこんでいるのか、なぜ髪をもつ手が離れたのか、私はやっと理解した。


女が持っていたボールを投げつけようとした時


「ああ、すんませーん。そのボール俺のでーす」


後の角から現れた、超がつくほどの美形の可愛い男の子。


手を振りながら、走ってきた。

女4人がそれを見て、一斉に立ち上がった。


そして、小さい声でコソコソし始めた。


「なにあの子!! 超可愛い!!」

「やばいっ! キュン死!!」


目を輝かせ、頬を赤くする女。


こんな時まで、コソコソしてコソコソ人間かよ。

そんなことを思っていたけれど、もちろん口には出さなかった。



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